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相続

相続(相続手続き・相談)

 

相続財産とは

相続財産には不動産、動産、債権、現金、預貯金、株式、などの他、みなし相続財産として、

被相続人が死亡する前の3年間で贈与した財産、生命保険金、死亡退職金、弔慰金なども含まれます。

また以上のようなプラスの財産のほか、借金、ローンなどの債務、被相続人が連帯保証人になっていた

場合の連帯保証債務、被相続人が借りていた借家、借地を借りる権利等も相続されます。

 

期限のある手続き

相続に際しては様々な手続きが必要になります。期限のある手続きを下記に列挙します。

(起算日は相続開始日=被相続人が死亡した日です。)

 

届出・手続き

期限

届出・手続き先

死亡届

7日以内

亡くなった人の本籍地または届出人の住所地の市町村役場

死体火葬許可申請

7日以内

亡くなった人の本籍地または届出人の住所地の市町村役場

世帯主変更届

14日以内

住所地の市町村役場

児童扶養手当認定請求

14日以内

住所地または本籍地の市町村役場

相続放棄・限定承認

3ヶ月以内

家庭裁判所に申し立て。※なお相続放棄・限定承認については後述します。

準確定申告※

4ヶ月以内

亡くなった人の住所地の税務署

相続税の申告・納付

10ケ月以内

亡くなった人の住所地の税務署

そのほかにも期限の定めがないものの相続に際しては多くの手続きが必要となってきます。

 

相続の種類

相続をするしないは原則相続人の自由であり、相続人は単純承認、限定承認、相続放棄の中より選択できます。

1.単純承認:相続財産のすべて(借金など債務を含めて)相続するもの。何もしなければ単純承認したものとなります。また相続財産の一部を処分したり限定承認あるいは放棄した後であっても隠匿(かくすこと)した場合、消費した場合も単純承認したものとみなされます。

2.相続放棄:相続人の地位を放棄し相続しないことができます。相続放棄した場合、その者の子も相続権を失います。相続を知った日より3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出ます。

3.限定承認:相続財産の限度で負債等のマイナスの財産も引き受ける方法です。相続人全員で家庭裁判所に相続を知った日(通常は相続開始日)から3ケ月以内に家庭裁判所に財産目録を添えて申し出ます。

目録の作成が困難な場合この期間の延長を家庭裁判所に請求できます。

 

相続放棄はあきらかに負債(借金等)の方が多いと分かっている場合のほか、特定の者に相続をさせるために使われる方法です。3ヵ月以内という期限がありますので早急な対応が必要となりますが財産構成・権利構成等が複雑でこの期間内にすべての把握が困難なときは家庭裁判所に伸長を求めることができます。

 

法定相続

遺言があれば遺言に従い、なければ法定相続となるのが原則です。しかしながら遺言の内容によっては遺産分割協議をもつこともありえます。その結果相続人全員が合意すれば遺言の内容と異なる遺産分割も可能です。

遺言がない場合は法定相続となります。

 

法定相続人

法定されている血族相続人は以下のとおりとなります。

   配偶者は常に相続人となる。

   配偶者以外の第1順位の相続人は直系卑族(子供、孫、ひ孫)

   第2順位(第1順位の相続人がいないときに相続人となる者)の相続人は直系尊属(すなわち父母、父母が死亡している場合祖父母)

   3順位(第1、第2順位の相続人がいない場合)の相続人は兄弟姉妹。

  

相続欠格

1.故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡させ、または死亡させようとしたために、刑に処せられた者。

2.被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、または殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であったときを除きます。

3.詐欺または脅迫によって被相続人に遺言をさせたり、遺言を取消させたり、変更させたりした者。

4.詐欺または脅迫によって、相続人が遺言をしたり、その取消しや変更しようとするのを妨げた者。

5.相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄したり、隠したりした者。

以上のような欠格事由に該当した場合、法律的に相続権が剥奪され、相続人及び受遺者の資格を失います。ただし、子が代襲相続人となることは可能です。

 

法定相続分

民法では法定相続分といって遺言がなく遺産分割協議がこじれた場合にそなえて相続できる割合を定めています。

相続人が配偶者と子供のみの場合、配偶者が2分の1、子供が2分の1(子供が複数いる場合は

この2分の1を子供の数に応じて均等に分けます。妻と子供二人なら妻が2分の1子どもが4分の1ずつ)

相続人が子どものみの場合は均等に分けます。

また子どもがなく(孫もいない。)配偶者と亡くなった人の親が相続人の場合、配偶者が3分の2、親が3分の1

子も(孫も)親もなく配偶者と兄弟姉妹のみの場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。

なお遺産分割協議で法定相続分と異なる割合に遺産を分けることは相続人全員が合意すれば可能です。

子がかつていたが死亡し孫がいる場合には孫が子に代わって相続権を得ます。これを代襲相続といいます。

兄弟姉妹が相続人の場合、その子は代襲相続できますが、そのさらに子は代襲相続できません。(亡くなった人から見て甥、姪までで打ち切り)その他の場合は代襲相続は打ち切りとはならず、その子、またその子と理論上は受け継がれます。

なお相続人間で遺産分割協議を行い、全員が合意すれば法定相続分と異なる遺産分割は可能です。

 

遺産分割協議書

相続が開始した(被相続人が死亡した)日から相続財産はすでに法定相続人の共有状態にありますが、これを話し合いによりそれぞれの相続人の個人所有に確定させる作業が遺産分割協議です。その内容を記載して法定相続人全員が合意した文書が遺産分割協議書であり、必ず法定相続人全員の合意が必要となり、一人でも欠けていた場合は無効です。遺産分割協議書には決まった書式があるわけではありませんが後日内容について争いが生じないよう、明確に、そして預貯金名義の変更や不動産の登記内容の変更等に使用できるよう、銀行の支店名、口座番号、不動産では不動産登記簿に記載されている所在地(通常の住所表示と異なることが多いです。)を記載すべきです。また法定相続人全員の印鑑は印鑑証明書のとれる実印を押印しておかなければ財産の名義変更に使えません。用紙一枚に収まらない場合は用氏の継ぎ目に全員の契印(両方の用紙にまたがって実印を押します。)が必要です。

 

遺産分割協議に際して問題となる点

法定相続人に未成年がいる場合、未成年者は遺産分割協議をすることができないため、成年になるのを待つか、代理人が必要となるのですが、代理人もまた相続人となったり(親子とも相続人)、複数の未成年者がいる場合、同一の代理人(親が複数の子の代理人)となったりすることはできませんので、それぞれの未成年者について特別代理人を家庭裁判所に選任の申し立てを行ってからでないと分割協議ができません。

法定相続人に行方不明者がいる場合には失踪宣告(不在より7年以上、危難に会った場合は1年以上)を待つか不在者財産管理人を家庭裁判所で選任のうえでの協議が必要となります。また法定相続人が認知症等で意思が明確でない場合、成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立てて、その成年後見人を代理人として協議を行う必要があります。

 

寄与分

寄与分とは相続人の中に、被相続人(亡くなった人)の財産の形成に貢献した人がいる場合に、寄与分を相続財産から除いて法定相続分を計算したうえで、寄与した相続人にその分を上乗せすることで公平をはかる制度です。

 

特別受益者

特別受益とは生きているうちに、被相続人(亡くなった人)から特別の援助を受けた場合、生きている間にもらった分は、相続分の前渡しとして、計算します。(結婚資金、マイホーム資金、進学費用、生活費その他)

 

遺留分

遺留分の遺産全体に対する割合は、相続人が直系尊属だけの場合は3分の1で、それ以外、つまり相続人に配偶者および直系卑属がひとりでもいれば、遺産全体の2分の1が遺留分です。遺留分を侵害する遺言もただちには無効とならず、権利者が遺留分減殺請求権を行使してはじめてその部分については効力を失うものですが、請求権行使の場合は当然に遺留分は減殺され、遺留分権者に帰属することとなります。

  

遺産分割協議がまとまらないとき

遺産分割協議がまとまらない場合は家庭裁判所に調停を申し立て、調停がまとまらない場合は家庭裁判所の審判となります。家庭裁判所への遺産分割の申し立ては各共同相続人中誰でも申し立ててもよいこととなっております。

                               

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